「IUの秘書」から一転、「慶州紀行」でプロレスラー役を熱演するイ・ヨン
俳優イ・ヨンが映画『慶州紀行』で、ドラマ『21st Century Grand Prince's Wife』で見せた「IUの秘書」とは真逆の、プロレスラー出身のトラブルメーカー三女役に挑戦。笑いと切なさを併せ持つキャラクターを熱演します。
俳優イ・ヨンが映画『慶州紀行』で、前作とは全く異なる表情を見せた。MBCドラマ『21st Century Grand Prince's Wife』でIUの傍を守っていた有能な秘書だった彼女が、今回は言葉より先に拳が出るプロレスラー出身のトラブルメーカーへと変身。劇のリズムを刷新するキーパーソンとして活躍する。

来る26日に公開される『慶州紀行』は、修学旅行に出たまま戻れなくなった末娘の慶州(キョンジュ)のために、8年もの間待ち続けた四人母娘が「とどめを刺す」旅に出る家族復讐劇だ。復讐という重いテーマを軸に据えながらも、家族間の愛憎と喜劇的な状況を交差させ、感情の緩急を巧みに操る作品となっている。
イ・ヨンが演じる三女のドンジュは、家族に愛されるために絶えず抗う人物だ。プロレスリング選手出身で優れた運動神経を持つが、考えるよりも先に体が動いてしまう。何かが起きれば論理的に解決するよりも、まずは拳が出る血気盛んな性格のせいで、大小さまざまな騒動を引き起こす。
ドンジュの役割は、単なるコミカルなキャラクターに留まらない。シリアスな復讐劇の緊張を適切な瞬間に解きほぐし、観客が四人母娘の関係をより立体的に捉えられるよう、情緒的な緩衝地帯としての役割を果たす。
実際に映画内の多くのコミカルなシーンは、ドンジュを中心に展開する。留置場に入って冤罪を訴えながら暴れるシーンから、自分に気づいたファンと突拍子もない形で対面する場面まで、ドンジュが登場するたびに映画の温度が変わる。プロレスラーであるドンジュのフォトカードを財布に大切にしまっているファンの登場は、キャラクターの設定をユーモアへと転換する代表的な例だ。
しかし、ドンジュが単なる「世間知らずの三女」として消費されない理由は、その裏側に家族から愛されたいという切実な欠乏が隠されているからだ。三女として育ったドンジュは、母オクシル(イ・ジョンウン)の関心を十分に受けられなかったと感じており、家族の中で疎外されているという感情を抱いている。荒々しく衝動的な行動は、結局のところ「認められたい」という欲望の裏返しなのだ。
イ・ヨンは、この複雑な心理を過剰なメロドラマに陥らせることなく、繊細な表情や話し方、行動のギャップによって表現した。笑いを誘っていた人物が、ある瞬間、母親に対して不満を露わにするとき、観客はドンジュを単なる喜劇的なキャラクターではなく、愛に飢えた一人の人間として受け止めることになる。
キャラクター構築の過程も過酷を極めた。イ・ヨンはドンジュの自由奔放な性格と外見を表現するため、日本で自らシャギーカットのスタイルを作り上げた。さらに、プロレスラー出身という設定に説得力を持たせるため、パジュ・アクション・スクールで2ヶ月以上訓練を積み、実際のプロレス技術やアクション動作を習得した。
アクションは単なる見せ場ではなく、ドンジュの性格をあらわす演技手段でもある。考えるより先に体が反応する人物であるだけに、イ・ヨンの身体の動きそのものがキャラクターの心理と直結している。ドンジュの過激な行動が滑稽に見えながらも、どこか切なく感じられるのは、このように行動と内面が一貫して構築されているからだ。
共演したパク・ソダムはイ・ヨンについて「すべてを真剣に感じ取り、表現しようとするエネルギーがある」とし、「台本読みの段階から、すでにドンジュと一体化していた」と評した。キム・ミジョ監督も「イ・ヨンではなくドンジュだと錯覚するほど、完璧なシンクロ率を見せた」と絶賛。「アクションが多く体力的に過酷だったにもかかわらず、一度の不平も漏らさず熱心に取り組んだ」と彼女の姿勢を称えた。
イ・ヨンの今回の変身がより際立つのは、直前の作品との鮮やかなギャップにある。彼女は今年5月に終演したMBC『21st Century Grand Prince's Wife』で、ソン・ヒジュ(IU)の首席秘書ド・ヘジョンを演じた。気難しい上司の要求を巧みにこなす「社会性マックス」の秘書だった彼女が、『慶州紀行』では社会性よりも拳が先に入る人物を演じているのだ。
結局のところ、イ・ヨンにとって『慶州紀行』は単なる次作以上の意味を持つ。一つの作品でキャラクターを安定して演じるだけでなく、正反対の人物を連続して構築することで、俳優としての表現領域を広げていくプロセスだからだ。
『慶州紀行』でイ・ヨンが見せるドンジュは、笑いを担当する人物だが、その笑いのどん底には家族に愛されたいという普遍的な欲望が横たわっている。荒々しい行動と不器用な感情表現の裏に隠された欠乏を、説得力を持って引き出したことがイ・ヨンの演技的な成就といえる。「IUの秘書」として刻印された俳優が、今回は「拳が先に出る三女」として、自身の表現の幅をどこまで広げていくのか。その新たな挑戦に注目が集まっている。
